地形から土砂災害の危険度を評価し世界各国の防災計画に貢献する
THU Innovations
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地形から土砂災害の危険度を評価し
世界各国の防災計画に貢献する

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Sato

佐藤 剛教授

経営学科 経営コース

千葉大学大学院自然科学研究科 人間・地球環境科学専攻を修了し、博士(理学)を取得。
専門は地形学、土砂災害学。

土砂災害の発生を予測し、防災に活かす

災害大国ともいわれる日本。繰り返し発生する地震だけでなく、近年では局地的大雨などによる土砂災害も増加している。そうした被害を少しでも減らすことを目指し、佐藤教授は地形学を専門に、長年にわたって「地すべり」を研究している。

主な取り組みとして、航空機やドローンなどを使ったレーザー測量から得られた標高データなどを活用して、地すべりが発生する可能性がある場所を抽出し、それを基に土砂災害ハザードマップを制作している。また災害発生時にはいち早く現地に赴き、どういったプロセスで山が崩れて土砂災害が発生したのかを調査。災害直後の記録は、今後の土砂災害を防止するうえでの重要なデータとなり、次の研究につながっていく。

「日本では古から人々は災害と共存してきました。どこで、どういう災害が発生したのかは、伝承としてだけではなく地形にも記録として残されています。我々の研究は地形から繰り返し発生する危険箇所を見つけ出し、防災に活用しようとする実学です。しかし現状では土砂災害が「どこで」「いつ」発生するか正確に予測することは発展途上の段階です。地球温暖化にともなう局地的豪雨の発生、東海地震、東南海・南海地震などの発生が言及される今だからこそ、土砂災害発生の素因と誘因を調査し、リアルタイムで土砂災害の危険度をそこに住む方々に伝えるシステムを作ることが重要だと考えています」(佐藤 教授)

昨今ではドローンやレーザー測量機器の進化によって、より細かいスケールで土砂災害の危険度評価ができるようになっている。そうした精度の高い情報がきちんと活用されるためにも、佐藤教授はフィールドワークの実施や論文の執筆だけでなく、わかりやすく伝えていく工夫も重要視している。

土砂災害の被害を世界中で減らすことを目指して

「災害に国境はありません」という佐藤教授は、自身の研究を世界にも広げている。例えば2012年からの3年間は、JICA(国際協力機構)のプロジェクトに短期専門家として参画し、中米ホンジュラスの首都・テグシガルパを対象とした地すべり分布図を現地で作成。同国政府の防災計画のためのベースマップ作りに貢献した。

また現在は、JST(科学技術振興機構)の支援を受けて、群馬大学とプロジェクトを進行中。日本・タイ・ベトナムの3カ国で共同研究を行い、土砂災害危険度情報をリアルタイムで表示できるシステムの開発を目指している。

「日本で培った技術を海外に伝え、その周辺国に波及させていくことが重要だと思います。日本で毎年のように土砂災害が発生しているように、海外においてもそのリスクにさらされている地域は多くあります。特に開発途上国では、これまで人が住んでいなかった場所に人が住むようになったり、土砂災害の危険地だと知らずに住んでいたりする方が大勢います。もしもそういう方々に防災教育をすることができたら、救える命があるかもしれません。これからも防災に役立つ実学研究を国内外で推進していきます。」(佐藤 教授)