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土砂災害を減らすために -日本・タイ・ベトナムによる国際共同研究-
2021/12/21
経営学科
経営コース

土砂災害を減らすために
-日本・タイ・ベトナムによる国際共同研究-

  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 13.気候変動に具体的な対策を

東南アジア諸国における地すべりモニタリングと地すべり予報システムの構築

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書に示される通り、近年の気候システムの温暖化は疑う余地がないものであり、熱帯低気圧の強度の増大に伴う降水強度の増加など、極端気象の発生頻度が高まることが指摘されています。特にアジアモンスーンの影響を受ける東南アジア諸国においては、インド洋上の海面温度の上昇に伴って雨量の増加が想定されています。降雨量とその強度の増加は、山間部における地すべりや崩壊、それに引き続く土石流による土砂災害の頻発化と大規模化を導くと予想されます。東南アジア諸国の防災力を向上するために、土砂災害対策におけるソフト面の整備と強化が求められています。

こうした課題に対応するべく、科学技術振興機構(JST)による戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)e-ASIA※1のスキームを活用し、日本・タイ・ベトナムの研究機関※2による国際共同のプロジェクト「地すべりのモニタリングと予報システムの構築」が2019年にスタートしました。研究メンバーがもつ知識と技術を上記3か国に設定された調査地サイトに投入し、新たな土砂災害リスク評価手法を開発することに挑んでいます。

そのなかで本学は「リモートセンシングデータの収集と詳細地形学図の作成」をテーマとし、光学衛星画像や航空レーザー測量から作成される数値標高モデル(Digital Elevation Model: DEM)の整備を進めるとともに、それらから作成される地形モデルの解析を行っています(図1)。また、タイ・ベトナムにおける地すべり危険斜面や土石流危険渓流での地形・地質調査も進めるとともに、ハザードマップの作成に取り組んでいます(図2)。東南アジア諸国の山間部に生活する人たちが安心して住み続けられる環境をつくるために、私たちは国境を越えた調査研究を続けていきます。

※1 東アジアサミット参加国の公的ファンディング機関が連携し、東南アジアを中心とする地域の科学技術分野の研究開発力の強化と地域共通課題の解決を目標とし、3カ国以上の多国間共同研究や研究交流を推進する事業。 ※2 群馬大学、帝京平成大学、情報通信研究機構、National Electronics and Computer Technology Center(タイ)、Thuyloi University(ベトナム)など。

図1
図1
図1:高知県東部の山間部を対象に、地形解析から斜面の安全率(Fs)を評価する手法を開発しました(J.Disaster Res.16(4))。Aは地形から推測される水頭面、Bは水頭面をすべり面と仮定した斜面安全解析結果になります。Bの図は赤色に近づくほど地すべりが発生しやすい斜面であることを示しています。
図2
図2
図2:タイ・チェンマイ近郊にある調査サイトDoi Pui村(基図にGoogle Earth画像を用いた)。山岳少数民族が暮らすこの村は地すべり地形上にあると推定され、かつ現地調査の結果から村の表層部は土石流堆積物に覆われていることが明らかとなりました。将来的には、この村を対象としたリアルタイムハザードマップが作成される予定です。

佐藤 剛

人文社会学部 経営学科 経営コース 教授。大学院 環境情報学研究科 教授。硬式野球部 部長。千葉大学大学院 自然科学研究科 人間・地球環境科学専攻 修了。博士(理学)。専門は自然地理学・自然災害科学。「地震や豪雨で発生する地すべり災害発生プロセスの復元」、「開発途上国における土砂災害ハザードマップの作成」、「地形分類図に基づく遺跡の立地特性の考察」といった研究課題に取り組んでいる。

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