Hiroki
Baba
馬場 宏輝教授
医療スポーツ学科 トレーナー・スポーツコース
修士(スポーツ科学)。健康・スポーツ科学を研究分野とする。体育・スポーツ経営学の立場から、なぜスポーツ指導者に資格を付与するのか、なぜスポーツ指導者は資格を求めるのかについて、歴史的・社会的・制度的な背景の分析や、スポーツ指導者へのアンケート調査などを通じ、幅広く・多様な視点から研究している。
馬場 宏輝教授
医療スポーツ学科 トレーナー・スポーツコース
修士(スポーツ科学)。健康・スポーツ科学を研究分野とする。体育・スポーツ経営学の立場から、なぜスポーツ指導者に資格を付与するのか、なぜスポーツ指導者は資格を求めるのかについて、歴史的・社会的・制度的な背景の分析や、スポーツ指導者へのアンケート調査などを通じ、幅広く・多様な視点から研究している。
公認アスレティックトレーナーは、スポーツ現場で選手が怪我をした際の応急処置や傷害の評価、教育的指導、コンディショニングなどを行う専門性の高い職業・役割・立場である。しかし、プロや職業として活動できる場は限られており、その専門性の高さに見合った社会的地位にあるとも言えない。このような現状を踏まえ、馬場 宏輝 教授はどのような制度と資格を構築すればアスレティックトレーナーの社会的地位が向上できるのか、これまでの制度や資格の知見を踏まえ、理論的な検討を行っている。
「一般のスポーツ愛好家には、フィットネストレーナー・パーソナルトレーナーなどとの区別がついていないことが少なくありません。さらに、プロスポーツの世界においても、チームの経済状況によっては単独で雇用しづらいなどの問題があり、アスレティックトレーナーの社会的認知や地位が十分であるとは言い難いのです」(馬場 教授)
馬場 教授は、公認スポーツ指導者制度の歴史的経緯を経済学における制度分析の中でも、特に「制度的補完性」と「経路依存性」の概念を用いて検討。その結果、現在のJSPO-ATを資格認定する制度をアマチュア・アスレティックトレーナー資格制度とし、その上位概念である公認スポーツ指導者制度から経路依存し相互補完性のある制度と位置付けた。また、アマチュア・アスレティックトレーナー資格制度と補完性のある上位概念としてアマチュア・アスレティックトレーナー制度を、さらにそれと補完性のあるプロ・アスレティックトレーナー制度を位置付けることで、それらの両方を含むアスレティックトレーナー制度を構造化した。
体育・スポーツ経営学も、その親学問である体育学・経営学も実践的な学問である。社会課題から研究課題を見出し、検討することで社会課題を解決してこそ、研究の意義・意味があると馬場 教授は考えている。今後は、単なる理論展開や提案にとどまらず、実社会やスポーツ界において、制度・資格を創設する取り組みに参画し、実証していくことを目標としている。
「これらの取り組みは、単にアスレティックトレーナーの社会的地位向上という貢献だけでなく、スポーツの普及や強化、高度化といったスポーツ界全体への貢献を視野に入れています。さらに、トレーナー養成という大学の教育活動にもつなげる必要もあるでしょう。スポーツや大学の関係者であっても、なぜスポーツ指導者に資格が必要かを正しく語れる人材が不足していることも課題の一つ。最終的には、日本におけるスポーツ指導者育成の中で、なぜスポーツ指導者に資格を付与するのか正しい知識と理解を普及させていくことを目指しています」(馬場 教授)