はりときゅうを行う技術
治療目的に合わせて、はりときゅうを行う技術が必要になります。手先が不器用と感じている人でも、通常、養成施設での学修を通して、基礎的な技術が身についていきます。
東洋医学に基づき、鍼(はり)や灸(きゅう)で人体のツボに刺激を与え、自然治癒力を活性化させて症状を和らげたり、病気の治療を行います。肩こりや腰痛、冷え症、アレルギーやストレスによる病気で悩む人など対象は様々です。エステサロンなどでもリラクゼーションの一環として取り入れられたり、鍼灸院で経験を積み、独立を目指す人もいます。
必要な資格
目指せる学部・学科・コース
はり師・きゅう師は、厚生労働大臣の免許を受けて施術を行う、東洋医学・療法のプロフェッショナルです。鍼(はり)や灸(きゅう)で人体のツボに刺激を与え、自然治癒力を活性化させることで、症状を和らげたり病気やケガを予防したりすることをめざします。医師と同様に独立して開業できるのが特徴です。
はり師・きゅう師による治療は手術や投薬を行わず副作用も少ないことから、幼い子どもからスポーツ選手、妊産婦、勤労者、高齢者まで受けられるものとして注目が高まっています。ここからは、はり師・きゅう師が仕事内容を詳しくみていきましょう。
はり療法は、金属製で0.12〜0.30mmほどの細さの鍼(はり)を使って身体のツボに一定の刺激を与え、血行の促進と身体に備わる自然治癒力の活性化、筋肉の緊張・痛みの緩和などを図ります。「鍼管という管に鍼(はり)を入れ、少しだけ管から出ている柄の部分を軽く叩いて皮膚に刺す」という日本独自の方法で、強い痛みを感じさせずに治療を行うのが主流です。
鍼(はり)を刺してすぐに抜く方法や、刺してから上下させたり振動させたりする方法、鍼(はり)を通してかすかに電流を流す方法や鍼を刺さないで皮膚に圧をかける方法など、施術方法は多様です。
鍼は使い捨てのディスポーザブルのものを使用するのが一般的です。
きゅう療法は、乾燥させたよもぎの葉をもとに作られた「もぐさ」に火をつけて、身体の各部位に置き、熱の作用によってツボを刺激していく治療です。はり治療と同様に、身体のもつ自然治癒力を高め、症状の改善や病気やケガの予防を図ります。
きゅう療法は、もぐさを皮膚に直接のせて火をつける「直接きゅう」と、皮膚ともぐさの間に紙の台座、ショウガやニンニクなどの緩衝材を置いて火をつける「間接きゅう」の2種類に分けられます。
直接きゅうではもぐさが肌に触れるため、より直接的にツボに刺激を与えることができ、身体の冷えを原因とする不調を改善するのに効果的です。一方で間接きゅうは、もぐさが肌に直接触れないため、刺激は弱まるものの患者さんにとっては受け入れやすい治療とされています。
治療は、西洋医学と東洋医学の両方の知識を活かした医療面接、検査の流れで進みます。
東洋医学独特の診察法として四診(望診、聞診、問診、切診)があります。ここでは、舌診と脈診を紹介します。
望診の1つで、患者の舌の形や色、舌の表面のこけなどを肉眼で観察することで、身体の状態を判断する方法です。
切診の1つで、患者の手の脈(橈骨動脈)などを直接肌に触れて、脈の強さや速さ、リズムなどを確認し、身体の状態を判断する方法です。
患者の身体状態をしっかりと見極めて適切に治療方針を決定し、実行していくために、はり師・きゅう師には主に以下3つの基礎的スキルが求められます。
はり師・きゅう師として活躍するためには、東洋医学だけでなく、西洋医学にもとづく生理学、解剖学、臨床医学などの知識も必要とされます。まずは医学全般への知識を深め、様々な知識を紐付けながら柔軟な考え方をすることが求められるでしょう。
また、患者の自然治癒力が低下している理由を適切に判断して治療に進むために、知識をもとに原因を分析する「思考力」も活かされる仕事です。
はり師・きゅう師は、日々子どもから高齢者まで幅広い層の患者と接します。安心感のあるコミュニケーションで信頼を築き、不調や心配ごとに寄り添いながら必要なアドバイスも行う仕事であることから、「人と接することが好き」「誰かの役に立ちたい」という思いがある方に向いていると言えます。
治療目的に合わせて、はりときゅうを行う技術が必要になります。手先が不器用と感じている人でも、通常、養成施設での学修を通して、基礎的な技術が身についていきます。
ーおすすめの授業を教えてください
実際に鍼灸治療の現場を体験しながら、はり師・きゅう師になるために必要な基礎的な臨床力の習得を目指しています。またこの授業では1年から3年次までに身に着けた知識を活かした問題解決能力を鍛えます。
ーこういう学生と一緒に学びたい!
人に対する理解や共感する心を養い、医療人として必要な知識を広く学ぶ意欲と鍼灸・東洋医学を通して、様々な分野で活躍したい気持ちのある学生と一緒に学んでいきたいと考えています。
はり師・きゅう師になるには、国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。高校を卒業した後、専門学校や大学の鍼灸学科などの養成施設で必要な課程を修了することで、受験資格が得られます。
国家試験は年に一度、2月に実施されます。「鍼灸師(しんきゅうし)」と呼ばれることも多いほど密接な関係性がある「はり師」・「きゅう師」ですが、資格はそれぞれ別に設けられています。
資格を取得した後は鍼灸院や鍼灸を扱う整骨院などに就職するのが一般的ですが、はり・きゅうの効果が科学的に解明され多様な分野で注目されるようになったことで、活躍の場は広がってきました。
例えばスポーツジムやクラブチームなどに所属して選手のコンディショニングサポートを行ったり、エステサロンなどで「美容鍼(はり)」として施術を行ったり。また高齢化が進む中で、はり師・きゅう師を必要とする介護施設なども増えてきています。
ヒューマンケア学部 鍼灸学科 トレーナー・鍼灸コースではり師・きゅう師をめざすことができます。
オープンキャンパスへのお申込みや資料請求も受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。