統計学と半導体の知識を活かし、あらゆる問題のリスク予測・回避を実現
THU Innovations
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統計学と半導体の知識を活かし、
あらゆる問題のリスク予測・回避を実現

  • 発達障害
  • 半導体
  • 気候変動
  • リスク予測・回避

Koutaro
Hachiya

蜂屋 孝太郎教授

経営学科 経営情報コース

東北大学工学部卒業後、同大学情報工学(博士課程前期)を専攻。その後、半導体メーカー在職中に早稲田大学大学院情報生産システム研究科(博士後期課程)を修了。ソフトウェア開発会社の新技術開発室の室長を務め、現在に至る。統計学と半導体に関する知識を活かし、あらゆる問題のデータ化、リスク予測の研究を行っている。

「発達障害」「気候変動」、あらゆる問題のリスク予測・回避するための研究

あまり知られていないが、一般的に日本では10人に1人は「発達障害」だといわれている。それにも関わらず、「発達障害」発症要因などの詳しい研究は進んでおらず、大人になっても生きづらさを感じ、病院を受診する人は少なくない。こうした課題に対して蜂屋教授は、①「保健師の記録を用いた神経発達障害リスクの要因の研究」を進めている。

そのほかに半導体や統計学を応用した②「3次元集積回路の電源分配系のテスト手法に関する研究」や③「ばらまき型センサー観測に基づく自然成層斜面内の降雨水浸透と崩壊機構の実証的可視」など、自身の知識・経験を活かした研究にも従事。

「担当クラスには40名ほどの生徒がいますが、『発達障害』の有病率は10人に1人と知り、他人事ではないと強く感じました。また、『気候変動』が要因と思われる災害が増えているなかで、私の知識を使って、問題のリスク予測・回避ができるのではないかと思い、研究を進めています」(蜂屋 教授)

将来起こりうるリスクに目を向け、よりスムーズな社会を実現したい

①「保健師の記録を用いた神経発達障害リスクの要因の研究」では、乳幼児検診のデータを収集し、月齢・性別や運動発達に関する健診結果から発達障害の確率を予測するモデルを作成。今後は、より予測の精度を高めるため、親の喫煙など因果関係が不明なものも含め細かなデータの取り込みを進めている。

②「3次元集積回路の電源分配系のテスト手法に関する研究」は、半導体出荷前の「テスト」の精度を上げる研究。現在、デジタル回路向けの「テスト」手法は確立されているが、アナログ回路向けの手法は完全には確立されていない。蜂屋教授は今、人に依存しているテスト作業を自動化することで、電子回路の「テスト」の精度を高めている。

③「ばらまき型センサー観測に基づく自然成層斜面内の降雨水浸透と崩壊機構の実証的可視」では、生命を脅かす地すべりを予測する「ばらまき型センサー」の実用化を目指している。斜面の各所にセンサーを埋め込むことで、地すべりに関わる情報を検知。発生する前に避難指示が可能になる。

「私の研究によって、あらゆる問題のリスク予測・回避をしたり、非効率的な部分を効率化したりすることで、よりスムーズで安全な社会を実現したいです。また『ばらまき型センサー』は、ほかの災害発生予測にも転用できると思っているので、今後『気候変動』の影響で増加するかもしれない災害に対して、被害をなるべく減らすために活用していきたいです」(蜂屋 教授)