人文社会学部 人間文化学科 グローバルコミュニケーションコース 教授。イギリス・マンチェスター大学大学院 開発政策・経営研究所 修了。経済・社会学修士(MA in Economic and Social Studies)。経済学、社会学、ジェンダーを研究分野とし、「エンパワーメント」、「労働経済学」、「女性労働」、「開発・国際協力」、「ディーセントワーク」を主な研究項目とする。
- 2021/12/21
- 人間文化学科
グローバルコミュニケーションコース
女性のエンパワーメント指標の理論的枠組みの検討、および就業との関係の実証分析
インド版データの分析・現地における質的調査を推進し、実証的に検討
「エンパワーメント」とは、「人生を戦略的に選択する力を否定されてきた人たちがその力を拡大するプロセス(Kabeer 1999)」と定義されています。SDGsのゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)に掲げられるように、女性のエンパワーメントと就業は、国際社会で認識された重要課題です。
しかしながら、エンパワーメントをモニタリングするための測定指標の構築は途上にあり、就業とエンパワーメントの関係も明らかにされていません。そこで、測定指標の理論的枠組みを明確にした上で、どのような形態の就業が女性のエンパワーメントに影響を与えるのかを実証する研究を進めています。具体的には、「エンパワーメントを何で測るのか」「どのようなデータにアクセスでき、どのような指標が使えるのか」「国際比較は可能なのか」を検討してきました。
今後は次の2点を推進していきます。第一に、女性の就業がエンパワーメントにどのように関係するのかを、米国国際開発庁(USAID)らの資金提供で実施されている人口保健調査(DHS)のインド版データを使用して分析します。第二に、インドで就業・非就業の有配偶女性を対象に、就業とエンパワーメントの関係を見出すためのインタビュー調査を実施します。最終的には有用な「エンパワーメント指標」を提示し、就業とエンパワーメントの関係を明らかにすることを目標としています。
また、研究のプロセスや成果を教育活動に活かすため、学内外との連携を通して、次のことにも取り組んでいます。①NY 国連本部での国連女性の地位委員会(CSW)にユース参加する学生へのサポートをしました(2020年3月のCSW64 には経営学科の教員と一緒にグローバルコミュニケーションコースの学生が参加。今回はコロナ禍によりバーチャル開催となりました)。②ネパールで女性のエンパワーメントにも取り組むNGOの職員を招致し、本学学生とのディスカッション(「国際協力論」の授業)を行いました。(本研究は科研費[20K01688]の助成を受けています)
新村 恵美