sdgs-hero
鍼灸治療の医療連携において得られた知見の可能性
2021/12/21
鍼灸学科
トレーナー・鍼灸コース

鍼灸治療の医療連携において得られた知見の可能性

  • 3.すべての人に健康と福祉を

10年間の取り組みが鍼灸治療に対する信頼を高めた

私はこれまでの10年間、大学附属病院の麻酔科での医師や看護師の方々との医療連携を通し、難治性疾患に対する鍼灸治療に取り組んできました。それはSDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」に関連するものです。活動を進めていく中で、医師や看護師の方々にとって未知であった鍼灸治療に対する信頼が徐々に高まり、紹介される疾患の種類や患者数が増えていきました。今では鍼灸治療によってどのような効果がみられそうか、ある程度の共通認識ができつつあります。

これまでの活動を振り返ると、「鍼灸師が共通言語(西洋医学的知識)を用いたコミュニケーションを行うこと」、「効果がみられる症例ばかりでなく、効果がみられなかった症例についても情報共有すること」、「こまめに情報交換を繰り返すことによる鍼灸治療の利点の明確化」などにより鍼灸治療に対する信頼が高まってきたと思います(参照:医道の日本, 2020年第79巻5号, 12-17.)。

このように、医療連携の中で鍼灸治療が一定の役割を担うための過程で得られた新しい知見は、医療現場はもちろん、それまで接点のなかった職種間の交流による新しいシステムの構築に役立つ可能性があると考えられます。そして、そのような取り組みが活発に行われることで、SDGsの目標である「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現に向けた新しいヒントが生まれてくるのではないでしょうか。

玉井 秀明

玉井 秀明

ヒューマンケア学部 鍼灸学科 教授。自治医科大学大学院 医学研究科博士課程 修了。帝京平成大学大学院 健康科学研究科鍼灸学専攻においても准教授を務める。神経科学、東洋医学(鍼灸)を研究分野とし、「脳機能イメージング」、「神経科学的側面からの経穴の作用検討」を主な研究項目とする。

  • 帝京平成大学
  • SDGsロゴ