現在3年生のクラス担任をし、小学校教諭ということで、国語・算数・理科・社会以外にも幅広い教科を担当しています。登校から下校まで、ほとんどの時間を子どもたちと一緒に過ごしています。子どもたちが下校した後は、次の日の授業準備をしたり、テストの採点をしたりしています。学級通信の作成や、研修の準備、指導案検討なども行っています。



Professional
interview 01
Elementary school teacher
小学校教諭
子どもたちの反応を感じながら、
次の成長につなげる仕事を
Profile
香山 暢輝さん
2018年 現代ライフ学部(※) 児童学科
小学校・特別支援コース 卒業
(※現:人文社会学部)
※2019年度取材
- 勤務先:
- 横須賀市立大塚台小学校
- 取得資格:
- 小学校教諭一種免許状

01 現在の仕事について教えてください。
小学校教諭としてクラスを担任。子どもたちと毎日を過ごしています。

なぜこの仕事を目指そうと思ったのですか?
高校生のとき、進路選択をするうえで、まずは自分自身について考えてみたのです。私の性格を端的に言うと“明るく、元気”。この性格を作ってくれたのは誰なんだろう、と考えたとき、浮かんできたのが小学6年生時の担任の先生でした。その先生は、「○○君は、これが得意だから、これやってみてよ」と、その人の長所を認め、何かを任せてくれる人。私自身は、「サッカーが得意だから、このチームをまとめてみて」と言われ、とてもうれしかったです。その“承認”が今の自分を作ったのだ、そう気づいたとき、自分は小学校の先生になって恩返しができれば、という思いが湧いてきました。小学校のときはサッカー選手になりたかったので、まさか自分が教員を目指すとは思っていませんでしたけどね。
実際に働いてみてどうですか?
教員1年目は覚えることばかり! でも、発見もたくさんあります。
大学時代に小学校でボランティア活動をしていたので、仕事の流れはわかっているつもりだったのですが、学校は一校一校違うもの。校風や環境はもちろんのこと、備品の収納場所やルールなどもそれぞれです。最初はそれらを覚えるのがとても大変でした。周囲の先生方からの手助けやアドバイスをいただき、今はこの環境にも慣れ、少し視線を上げて考えられるようになってきました。教員の仕事は黙々と一人でやるのではなく、声をかけあって進めて行くもの。学校という大きなチームのなかで取り組んで行くものなんだと、改めて気が付きました。
反応が即座に目に見える。それがとても新鮮な驚きでした。
教員として子どもたちの前に立つと、その反応が手に取るようにわかります。授業で「こうしてみたらどうだろう」と工夫した部分が、子どもたちにどう受け取られるか、その場で直接感じることができるのです。例えば、一つの課題に対して考えや意見をまとめたり、引き出したりする「思考ツール」を取り入れると、子どもたちは意欲的に取り組み、活動してくれます。春から300回以上授業をしてきましたが、毎回子どもたちの反応は違っていて、その都度、気づきをもらっています。子どもたちの表情や保護者の方々からの言葉など、教員の仕事は自分の行動にしっかりと反応を感じられる仕事だと実感しています。

この仕事のやりがいは?
子どもたちと交わす言葉の一つひとつが、やりがいにつながっています。
子どもたちと過ごす時間、そのなかでの言葉のキャッチボール自体がやりがいなのだと思います。子どもたちはとても素直です。先ほど言ったように、私の行動や言動に素直に反応してくれる。その反応が仕事のやりがいにつながっていきます。私のクラスでは日記を宿題にしているのですが、そこに書いてきてくれる日常の記憶や友達との関わりなどもとても大切です。休み時間に遊ぼうと誘ってくれる子どもたちがいたり、そういった関わりすべてにやりがいを感じていますね。

02 どんな学生時代を過ごされていましたか?
1年次に参加した小学校でのボランティア活動が印象に残っています。
1年次は座学での講義が多いのですが、学校インターンシップとして週1回、全員がキャンパスのある中野区の小学校に行くことになっていました。そこで先生の仕事や子どもたちとの関わりを直接見ることができたのが、とてもいい経験になったと思います。講義内容と現場体験がリンクすると、学びはより深くなります。これは実学を重んじる帝京平成大学(以下THU)ならではのよさではないでしょうか。2年次もこの活動を継続できるので、希望した人は長く小学校に通っていましたね。
進路に悩んだ3年次。子どもたちとの会話から“教員になろう”と心が決まりました。
2、3年次は、「本当に自分は教員に向いているのか」と悩みました。教員という職について理解が深まるにつれ、「自分にできるのか」という気持ちになりました。そんなとき、横須賀市の学校教員支援チューター制度(市が実施している、教員志望の大学生を対象とした小・中学校での学習支援ボランティア活動)を知り、活動に励みました。主な仕事は、授業のアシスタント、校外学習のつきそい、子どもたちの学習支援です。伝え方一つで、子どもたちの表情が変わります。それが手ごたえとして自分のなかに残っていき、この仕事って面白いなと気づいたのです。そしていつの間にか、子どもたちの「本当は大学生なの?」「これから先生になるの?」という率直な質問に、「うん、先生になれるよう、頑張ってるんだよ」と答えるようになり、子どもたちと接しているうちに、自然と“この子どもたちの先生になりたい”と思うようになっていました。
学友たちと実施した「本の帯選手権(通称:おびチャン)」に思いを寄せて。
「THU」の四季祭(学園祭)では、同期の学友たちと「本の帯選手権」を開催しました。子どもたちの読書習慣を作りたい、という思いから立ち上がったこの企画。中野区のいくつかの小学校に協力してもらい、個性豊かな帯が集まりました。子どもたちは本を読み、それを友達にすすめるつもりで、配られた用紙を自由に使い、絵や言葉を書いて帯を作り、表彰をする。この企画は今も続いていて、今年の四季祭でも実施されていました。子どもたちが喜んで参加し、本を好きになってくれていたらこんなにうれしいことはありません。作品数も少しずつ増えていたようなので、今後も見守っていきたいです。

資格取得への道のりについて教えてください。
進路決定してからは、地域別の教員採用選考試験対策などを徹底的に行いました。
1年次は、子どもたちの発達段階の特徴や指導法などを中心に基礎を学び、さらに学外での学校インターンシップに全員が参加します。2年次は、基礎学修や教員の仕事内容を学び、クラスメートを生徒に見立てた模擬授業なども実施。3年次からカリキュラム別(教員免許状を取得するか否か、未定かなど詳細な区分)のクラスに分かれ、目指す目標に特化した勉強を進めていきます。私はまだ悩んでいたので、“未定”のクラスに。教員採用選考試験を受けると決めた3年次の冬からは過去問・小論文などの勉強を開始し、4年次は各都道府県別の傾向をふまえ、同じ地域を志望する学友同士、授業を見合ったり、過去問を解いたりしていきました。
03 受験生へのメッセージをお願いします。
「THU」には1つの質問に10返答してくれる先生方がいます。
4年間の学生生活、悩むこともありました。しかし、先生方はその悩みにもしっかり寄り添い、その都度相談に乗ってくれました。やる気のある学生には、1つの質問に10返答してくれるのが「THU」。自分の気持ち次第で、夢は実現できます。最初からうまくできる人はいません。失敗をくり返しながら、その原因を自分自身で理解し、一つひとつ乗り越えていってください。味方になってくれる先生、実学を学べる環境が「THU」にはあります。
大学での学びは基盤。実体験が自分を育ててくれるのだと感じています。
教員として働くうえで、大学で学んだことは“基盤”だと実感しました。何かのスキルがあって、ここに立っているわけではありません。教育者としての基盤を大学で作り、それを持ってここに立っているのです。だからこそ、それぞれの学校やクラスで、子どもたちの反応をしっかり受け止めながら仕事をしていかなくてはならない、と思っています。子どもたちは一人ひとり違う個性を持っています。同じ悩みを抱えていても、その子によって解決法が違います。その一つひとつに向き合える教師でありたい、それが今の私の思いです。
教員を目指す皆さん、大学での学びを基盤として、ぜひ多くの子どもたちの思いを受け止められる教員になってください。

1日のスケジュール
- 07:15
-
出勤
- 08:00
-
児童登校・授業準備
朝の会
出席確認
- 08:40
-
授業開始
休み時間
給食
掃除
- 14:30
-
授業終了
児童下校
翌日の授業準備・学級通信作成
職員会議研修など
- 16:45
-
退勤
4年間の学びの流れ
- 1年次
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基礎的な科目を学ぶことで幅広い教養を身につけるとともに、小学校での学校インターンシップなど実践的な体験により、教育の専門家としての視点を養っていきます。
- 2年次
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身につけた幅広い教養と教育の専門家としての視点を土台にし、子どもたちを対象とした教育者としての専門的な科目を学び始め、実践と理論の統合を図ります。
- 3年次
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4年次の教育実習に向け事前演習に取り組みます。教科教育法で身につけた指導案をもとに模擬授業を実施し、一般企業でも役立つ実践能力を高めます。
[学外学習]
介護等体験(特別支援学校・社会福祉施設)【7日間以上】
- 4年次
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小学校や特別支援学校において教育実習を中心に取り組みます。子どもたちのエキスパートとして必要な資質・能力を総合的に高め、4年間の総仕上げを行います。
[学外学習]
教育実習(小学校)【4週間】
障がい児教育実習(特別支援学校)【2週間】