言語聴覚士の仕事内容
言語聴覚療法の対象は、コミュニケーションや摂食・嚥下に何らかの障害を持つ方たちです。子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が対象となります。その方たちが、自分らしく豊かな生活を送れるようサポートします。ここからは、言語聴覚士が行う仕事内容について、対応する障害ごとに詳しく見ていきましょう。
言語機能や聴覚に障害がある人、食事を取ることが困難な人に対し、専門的知識と技能をもって、回復へ向けたリハビリテーションを行います。生まれつき障害のある人や、病気の後遺症や手術によって言葉や耳が不自由になった人など患者さんは様々です。機能回復のために検査で原因を探り、各人に合わせて適切な訓練や指導を実施し、日常生活をサポートします。
必要な資格
目指せる学部・学科・コース
言語聴覚士は、先天的な障害や病気の後遺症などによって「言語・認知、発声発語(声・発音・流暢性)、聴覚、摂食・嚥下」などの機能に何らかの問題を抱えている方に対し、機能の維持・向上を図るリハビリテーションを行う専門職です。
言語聴覚士として職務を行うためには、厚生労働大臣の免許を受ける必要があり、医学や音声学・言語学、心理学など幅広い領域の知識が求められます。医師や看護師、理学療法士や作業療法士などの医療専門職だけでなく、福祉や教育の領域の専門職と連携して業務を行います。1997年に国家資格に指定され、有資格者は増えていますが、高齢化の影響などにより、需要はますます高まっています。
言語聴覚療法の対象は、コミュニケーションや摂食・嚥下に何らかの障害を持つ方たちです。子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が対象となります。その方たちが、自分らしく豊かな生活を送れるようサポートします。ここからは、言語聴覚士が行う仕事内容について、対応する障害ごとに詳しく見ていきましょう。
発達の遅れや偏りによってことばやコミュニケーションに何らかの困難を抱えるお子さんに対し、コミュニケーションや言語理解、言語表現の発達を促す指導を行います。子どもに関わる保護者など、周囲の方々への支援も行います。子どもが興味を持ち楽しんで取り組むような指導内容を工夫するのも、言語聴覚士の腕の見せどころです。
また、脳卒中や事故などで脳に損傷を受け「話す / 書く / 聞く / 読む / 計算する」ことが難しくなった失語症や、記憶や注意の障害が生じた方に対しても、言語聴覚士が回復のサポートをします。一人ひとりの症状や目標に合わせた訓練計画を立て、失われた機能の改善を図るとともに、残された能力を活用した実用的なコミュニケーションの方法を身に着けられるように支援します。
発達途上や先天的な疾患により正しく発音することが難しいというお子さんに、発音の仕方を習得するための訓練をします。また、話したいことがスムーズに話せないという症状(吃音)は、小児にも成人にも見られます。言語聴覚士は、対象となる方が楽に話せるように訓練を行うだけでなく、ストレスなくコミュニケーションが取れるように環境を整える支援を行います。脳卒中や脳外傷などにより発音が難しくなった方には、唇や舌などの動きを改善させるための訓練を行います。声の使い過ぎや喫煙など、様々な原因で声が出しにくくなった方には、生活の中での注意点の指導や声の出し方の訓練を行うこともあります。
先天性の疾患や加齢などによって音やことばの聞き取りにくさを感じ、コミュニケーションに困難を抱える方に対し、各種の聴覚検査を実施します。その後、患者の聴覚特性に合致した聴覚的補装具(補聴器や人工内耳)を選定して装用指導を行い、コミュニケーション獲得支援を行います。小児ではことばの獲得支援に加えて生育後の社会参加を見据えた支援が重要で、コミュニケーションパートナーである養育者に対する支援も大切です。聴覚障害を発症したライフステージや重症度の違いにより、当事者のコミュニケーション上のニーズは一人ひとり異なるため、必要に応じて手話や指文字による情報補償にも配慮します。ご本人と家族の希望をふまえた、柔軟な支援の実践が求められます。
食べ物を噛む・飲み込む機能に障害を持つ方々に対し、医師や歯科医師の指示のもとに訓練や指導を行います。こうした障害の原因は、脳血管疾患やパーキンソン病などの神経筋疾患、加齢の他に、頭頸部がんなどによる器官の形態異常や手術後の影響、さらに脳性まひなどの小児期の疾患など多岐にわたります。症状の程度もその方によって様々なので、姿勢や食べ方の指導、食事形態の調整、食事に関わる器官の運動訓練など、一人ひとりに合った対応を考える必要があります。
また、管理栄養士と共に食事内容について検討したり、食事介助について看護師と協力したりするなどチームで連携した対応が求められます。
言語聴覚士の仕事の中心はコミュニケーションそのものです。相手の気持ちに寄り添い、信頼関係を築くことが最も必要です。
言語聴覚士の仕事の多くは、他の専門職と連携してチームで行います。対象者についての情報を共有し合い、各自の専門領域の知見を生かしてよりよい成果をあげていくためにも、チーム内でコミュニケーションをとることが重要な要素となります。
言語聴覚士の支援の対象となる方たちの中には、意思の疎通や食事が上手くできないことに対して、大きな精神的負担を感じている方が多くいます。一人ひとりの思いに想像力を働かせ、受け止める共感力が必要な資質となります。
自分の思いを上手く表現できない状況にある方と接する場面が多いため、表情や仕草、わずかな口の動きなどから感情や症状を読み取っていく必要があります。日々のコミュニケーションの中で注意深く対象となる方々を観察し、相手の求めるものや適切なリハビリ内容を見極めていくことが求められます。
ー取得可能資格の特徴と将来の就職先を教えてください。
言語聴覚療法の対象となる方はコミュニケーションの手段が突然奪われ、苦しい思いをされている方たちです。例えば脳出血や脳梗塞で入院されている方たちは高齢者が中心ですが、一方交通事故やスノーボードの事故などで来られているのは10代、20代の若い方たちです。言語聴覚士はこのような年代も性別も人生経験も様々な方たちと接する仕事です。コミュニケーションは自発的な行為です。ご本人がもう一度自由に人と話したいと思えるようになることがリハビリテーションの第一歩になります。言語聴覚士はそう思って頂くきっかけを作れるような魅力的な人間であってほしいと思います。
言語聴覚士になるには、年に一度実施される国家試験に合格して資格を取得し、言語聴覚士としての登録を行う必要があります。養成校新卒の国家試験合格率の全国平均は80%程度です。
国家試験の受験資格は、高校卒業後に、文部科学大臣が指定する4年制大学や、都道府県知事指定の3年・4年制の専修学校を卒業するか、一般の4年制大学卒業後に2年の専門課程を修了することで得られます。養成教育の場では、言語・コミュニケーションに関する基礎科目の他に、各障害に特化した専門科目、現場での臨床実習による技術・倫理の習得などが求められます。
さまざまな障害を持つ方たちと関わる言語聴覚士は、活躍の場も多岐にわたります。働く場所として最も多いのは病院やリハビリテーションセンターなどの医療機関ですが、他にも教育や保健・福祉機関でも言語聴覚士のニーズは高まっています。
特に高齢化が進む中で、老人保健施設など、介護保険領域での求人も増えています。
本学の健康メディカル学部 言語聴覚学科で言語聴覚士をめざすことができます。
オープンキャンパスへのお申込みや資料請求も受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。