臨機応変に対応する柔軟性
患者ごとに症状や、痛みの感じ方は違うため、問診や触診を通して患者一人ひとりと向き合い、ケガの状態に合った施術内容を検討する必要があります。この際、特定の施術や経験だけに頼るのではなく、常に最適な治療方法は何か?と考える柔軟性が必要です。
柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫などの回復に向け施術を行う仕事です。柔道整復師が扱う「柔道整復」は柔道を起源に、東洋医学と西洋医学を融合させた療法で、手を使って身体に刺激を与え、人間が持つ自然治癒力を引き出す治療を行います。解剖学、生理学、運動学といった基礎医学に加え、患者と直接触れ合うため、コミュニケーション力も求められます。国家試験に合格した後は接骨院や整骨院だけでなく、トレーナーとしてスポーツ分野に関わる人や、リハビリテーションや福祉の現場に従事する人もいます。
必要な資格
柔道整復師は、ケガ(骨折・脱臼・打撲・捻挫など)によって生じる骨・関節・筋・腱・じん帯などの損傷に対し、柔道整復師法にもとづいた施術を行います。柔道整復師が行う仕事内容は、大きく分けて次の3つに分類されます。
整復法は、ケガでずれたり、外れたりした骨を引っ張る・伸ばすといった方法で元に戻す技術です。ケガの状況によっては骨が患部近くの神経を圧迫していたり、施術にかなりの痛みが生じたりすることもあるため、問診や視診、触診を行い、元の状態に戻します。
固定法は、脱臼、骨折の整復後、患部の安静を図るために用いられる方法で、三角巾や包帯、副木を用いて患部を一定期間固定し、ケガの再発や骨の変形を防ぐ技術です。固定法には体内に固定材を入れて患部を直接固定する「内固定」と、皮膚の外側から固定材を当てて患部を固定する「外固定」があり、柔道整復では「外固定」を用いて施術を行います。
患者は患部を固定したまま一定期間過ごすため、できる限り日常生活に支障をきたさないような固定材を選ぶことも、柔道整復師の仕事のひとつです。
後療法は、ケガで損傷した組織をさまざまな方法で刺激し、人間の自然治癒力を高める技術です。後療法には次の3つの治療法があり、柔道整復師は患部の状況に適した治療法を選択し、施術を行います。
物理療法は、電気や光、超音波などの物理的エネルギーを利用して正常な身体機能を取り戻す療法です。物理療法には「電気療法」や「光線療法」、「冷却療法」など、幅広い治療法があり、患者の状況に適した治療法を選択します。
柔道整復師は患者のケガと向き合い、その回復をサポートする仕事です。単に施術を行うだけでなく、患者に症状や施術方針を伝え、信頼関係を築きながらケガの回復を目指します。そのため、次のような経験・スキルが柔道整復師に求められます。
患者のケガの状況を会話によって読み取る「問診」や、手を使って状況を読み取る「触診」など、柔道整復師は患者と直接コミュニケーションを行います。患者の中には症状をうまく伝えられない方もいるため、相手の話をていねいに聞き、症状を正しく理解する能力も求められます。
患者ごとに症状や、痛みの感じ方は違うため、問診や触診を通して患者一人ひとりと向き合い、ケガの状態に合った施術内容を検討する必要があります。この際、特定の施術や経験だけに頼るのではなく、常に最適な治療方法は何か?と考える柔軟性が必要です。
時代の変化によってケガの症例や、治療法は変化しています。例えば、パソコンやスマートフォンを姿勢が悪いまま操作することで引き起こされると考えられている「巻き肩」もその一つです。国家資格を取得して終わりではなく、世の中の変化を常に察知し、学習を続け、患者のケガの回復に貢献することが柔道整復師に求められます。
柔道整復師になるには、厚生労働省が実施している「柔道整復師国家試験」に合格する必要があります。
国家試験の受験には、柔道整復師養成施設として認定されている専門学校(3年以上)、短期大学(3年制)、大学(4年制)で所定の科目を履修し、卒業することが求められます。
国家試験は毎年1回実施され、試験会場は北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県および沖縄県など、全国各地で受験できます。試験科目は解剖学や生理学、リハビリテーション医学など幅広く、合計250問(必修問題50問、一般問題200問)で実施されます。国家試験の合格率は例年70~80%程度で推移していましたが、2019年は65.8%、2020年は64.5%と合格率が狭まってきています。
本校では、ヒューマンケア学部 柔道整復学科 トレーナー・柔道整復コース、健康医療スポーツ学部 柔道整復学科 トレーナー・柔道整復コースで柔道整復師を目指すことができます。
オープンキャンパスへのお申し込みや資料請求も受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。