「幼児期に適したプログラミング体験活動プログラム」の開発
THU Innovations
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「幼児期に適した
プログラミング体験活動プログラム」の開発

  • 保育・幼児教育
  • プログラミング教育
  • ICT
  • 子ども学

Taiki
Murayama

村山 大樹講師

児童学科 保育・幼稚園コース

文教大学大学院 教育学研究科 学校教育専攻 修了。修士(学校教育)。2012年度より、幼稚園教諭として保育現場に携わりながら、主に幼児教育におけるデジタルの利活用を追究。「AI時代の学びと遊び」を主な研究項目とする。

小学校以上の教育との接続の観点を踏まえた段階的な研究

2017年3月告示の幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂では、幼児期から高校卒業まで一貫して育むべき「資質・能力の3つの柱」が明示され、幼児教育は、生涯に渡る学びの基礎を担うという重要な役割を担っていることが強調された。他方、学校教育の現場では、2020年度より「児童生徒一人1台の情報端末の整備」や「小学校プログラミング教育」の導入など、よりデジタルを活用する力を育むことが示され注目を集めている。幼児向けのプログラミングサービスや玩具、アプリなども次々と開発されており、幼児期からデジタルが身近になっていくことは想像に難くない。

「こうした背景を踏まえ、小学校以上の教育との接続の観点を踏まえた“幼児期に適したプログラミング体験活動プログラム”の開発を行っています。これからの時代を生きる子どもたちとデジタルとの最初の出会いを、幼児教育の中でどのように形作れるかを追究していきたいと考えています」(村山 講師)

開発にあたって、①「幼児期に適したプログラミング体験用教材の調査」、②「幼児(3~5歳)の年齢と発達に応じた活動プログラムの開発」、③「保育現場における実践・検証」が段階的に進められている。①では、タブレット端末(iPad)用の子ども向けプログラミングアプリや玩具について、機能面や操作性、デザインの柔らかさなどの観点から幼児に親しみやすいものを分類・整理し、利用の際の留意点の調査を実施。②では、①で調査した教材を用いて、実際に保育現場で子どもたちが活動できるようなプログラムの開発・検討を、③では①・②で開発したプログラムを、実際の保育現場で実施し、その実行可能性と有用性を検証している。

幼児期におけるデジタルとのより良い出会いの在り方を追究したい

研究①~③を基に、村山 講師は2020年度終了時点で全30種の「幼児期に適したプログラミング体験活動プログラム」の活動モデルを作成し、活動の留意点とともに保育関連学会において発表・提案を実施。特に、アンプラグド型(デジタルを用いない)活動では、従来の保育活動(遊び)に内在する「プログラミング的思考」が発揮されている場面を見出す点や、「小学校プログラミング教育の手引き」に示されたプログラミング的思考の基礎に留意して活動内容を構成する点に、幼児教育としての新規性および小学校プログラミング教育との整合性が確かめられた。

「デジタルの急速な発展によって、超効率化が押し進められる現代社会。研究をさらに発展・深化させ、デジタルの良さと危うさを丁寧に明らかにすることで、翻って人にしかできないことや教育・保育の重要性を改めて位置付けていくことが大切だと考えています」(村山 講師)