美容鍼のエビデンス―シワ改善の効果と豊かな表情づくり―
THU Innovations
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美容鍼のエビデンス
―シワ改善の効果と豊かな表情づくり―

  • 美容鍼
  • 美容外科
  • マイクロニードル
  • シワ改善

Shogo
Miyazaki

宮崎 彰吾教授

鍼灸学科 トレーナー・鍼灸コース

専門分野は社会鍼灸学。「触れる」こと(体性感覚刺激)の臨床試験や、さまざまな社会問題(いじめ、労働者のプレゼンティーイズムなど)の解決に向け、「触れる」ことを活かし創意工夫している。

Suguru
Nakamura

中村 優助教

鍼灸学科 トレーナー・鍼灸コース

専門分野は人間医工学。これまでMRIを使って鍼や灸をした際の身体の深部温度を測定。現在は「睡眠」と「人体美学」をテーマに東洋医学の工学的な評価を行っている。

被験者自身によるマイクロニードルを用いた毎日のケアでシワを改善

最近、SNSなどで「美容鍼」という言葉を目にすることが増え、本学鍼灸学科でも、エステや美容の業界ではり師の資格を活かす卒業生が増えてきている。その一方で、その効果や安全性について明確な根拠を示した研究は、これまでに報告されていない。こうした現状を踏まえ、宮崎 彰吾 教授は美容外科で用いられるマイクロニードルの技術から着想を得た、シワ改善に関する調査を実施している。

「美容において、シワは男女共に4割以上の中高年が挙げる悩みです。日本製の短い鍼と、鍼灸の繊細な技術がシワ改善に安全かつ有効であるかという調査を行いました。こうした研究は過去に行われたことがなく、研究成果は科学雑誌(全日本鍼灸学会雑誌, 2021年. 第71巻1号, 4-12.)にも掲載されました」(宮崎 教授)

調査にあたっては、小ジワのある25名のボランティアの協力のもと行われた。約半数の参加者をランダムに割り付け、2週間にわたり、毎日自分自身で短い鍼を使って1分ほどの簡単なスキンケアと、その直後に同一の美容液を塗布してもらう。そしてもう半数の参加者には、同じ美容液の塗布だけを毎日行っていただいた。その結果、短い鍼を使ってスキンケアを行なった参加者のうち、約7割で小ジワ改善の効能が認められた。その割合は美容液の塗布だけを行なった参加者の約3倍に及んだ。

鍼刺激で「美人顔」になれる?表情認識AIを用いて検討

短い鍼を使ったスキンケアは、痛みはごくわずかで出血はなく、セルフケアで安全に行えるものである。通院の必要やダウンタイム(処置を受けてから、出血や腫脹から回復するまでの数日間の期間)も伴わず、かかる費用も鍼代だけであれば数百円で済む。

「“シワを改善したいけれど鍼は痛そうで怖い”という方にも、痛みはなく安全なのでぜひお勧めしたいと考えています。しかし、研究者自身が国民一般に対して行う双方向的なコミュニケーション、いわゆるアウトリーチ活動には苦労しているところです」(宮崎 教授)

また現在、中村 優 助教の指導のもと、美容鍼に興味・関心のある鍼灸学科の学生の卒業研究が進行している。研究内容は、顔の表情をつくる筋肉に鍼刺激を与えることで、表情が豊かな「美人顔」になれるかというもの。表情認識AIを用いて、本校東洋医学研究所で調査を行っている。今後もさらなる調査・研究を重ね、美容鍼の効果や安全性のエビデンスに基づく可能性を探っていく予定だ。