常に新しい課題に挑戦し続けることが、医療の未来を切り拓く「鍵」
研究者として大切にしているのは、「現場の声を聴くこと」「実践に基づく研究を行うこと」、そして「社会に還元できる成果を生み出すこと」だという。また、次世代の研究者や救急医療の担い手たちには、「挑戦する姿勢」と「継続する力」の重要性を伝えたいと話す。
「特に、救急医療の分野では、理論だけではなく、現場で働く救急救命士や医療従事者が直面する課題を理解し、それを解決するための実用的なアプローチを提案することが求められます。そのため、私は常に現場のリアルな課題に耳を傾け、それを研究の出発点としています。救急医療の分野は、技術や知識が日進月歩で進化しており、これまでの常識が短期間で覆ることもあります。従って、現状に満足せず、新しい課題に挑戦し続けることが、医療の未来を切り開く鍵だと考えています。同時に、研究は成果がすぐに見えるものではなく、多くの時間や試行錯誤を要します。その中でも、小さな成果を積み重ね、粘り強く取り組む姿勢が重要です」(中村 講師)
研究の成果を社会に還元し、次世代に引き継ぐことも、研究者としての大きな責務だと感じているという中村 講師。静脈路確保の研究は、救急医療現場での実践に直結する内容であり、この知見を今後の教育プログラムや技術開発に活かすことで、多くの命を救うことができる。
「次世代の救急救命士や研究者がこれらの成果を基にさらに新しい知見を生み出し、より多くの命を救うために貢献してほしいと願っています。そして、医療や研究の分野に携わる全ての人々に、「患者のために何ができるか」という原点を忘れないことを伝えたいと思います。どんなに技術が進歩しても、私たちの仕事の目的は患者を助けることであり、そのために尽力する姿勢が、研究や実践のすべてを支える基盤となるはずです」(中村 講師)