
救急救命士の「特定行為」
救急救命士は、医師からの具体的な指示を受け、また家族への説明を行って同意を得たうえであれば、決められた医療行為を行うことができます。これらの条件のもと行える救急救命処置を「特定行為」といいます。
救急救命士がスムーズに特定行為を実施できるように、医療機関は救急救命士に対して医療行為の内容や手順を指導する「メディカルコントロール」を行います。メディカルコントロールには、電話や無線で指示を行う直接的なものと、病院研修や記録を基にした検証等の間接的なものがあります。
生命の危険にさらされた傷病者のもとに駆けつけ、一刻を争う状況のなか救急救命処置を行う救急救命士。その業務範囲は「救急救命士法」によって細かく定められています。
今回は救急救命士が担う役割や行える医療行為について詳しく解説します。救急救命士をめざしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
救急救命士を目指すなら、帝京平成大学の健康メディカル学部 医療科学科 救急救命士コース、もしくは健康医療スポーツ学部 医療スポーツ学科 救急救命士コースで学んでみませんか?
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救急救命士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師の指示を受けながら「救急救命処置」を行う仕事のこと。傷病者が病院に搬送されるまでのあいだに、または傷病者が病院に到着し入院するまでのあいだに、症状の悪化を防ぎ、生命の危険を避けるために必要な初期対応を行います。
救急救命士は「医師」ではないことから、かつては救急搬送する際に医療行為を行うことが法律で禁じられていました。
しかし、心肺停止状態になってしまった患者の救命率・社会復帰率が低いことや、苦しむ患者を前に手を差し伸べられず、患者の周りの方からは非難を浴びる救急隊員たちの苦しみの声が募ったことなどから、1991年4月に救急救命士法が成立。一定の条件下で一部の医療行為を行えるようになりました。
以降、法改正を重ねながら次第に救急救命士に許される医療行為の幅が広がり、現在の役割が形作られてきたのです。
救急救命士は、医師からの具体的な指示を受け、また家族への説明を行って同意を得たうえであれば、決められた医療行為を行うことができます。これらの条件のもと行える救急救命処置を「特定行為」といいます。
救急救命士がスムーズに特定行為を実施できるように、医療機関は救急救命士に対して医療行為の内容や手順を指導する「メディカルコントロール」を行います。メディカルコントロールには、電話や無線で指示を行う直接的なものと、病院研修や記録を基にした検証等の間接的なものがあります。
救急救命士は、医師からの具体的な指示のもと、次の5つの特定行為を行うことができます。
このうち4,5は2014年の法改正によって、実施が許されるようになった医療行為です。またこれらの特定行為のほかに、救急救命士に認められる処置には次のようなものがあります。
【医師の包括的な指示によって行えるもの】
【一般人でも行えるもの】
救急救命士の業務については、救急救命士法、第四十四条に次のような制限が設けられています。
第四十四条 救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める救急救命処置を行ってはならない。
2 救急救命士は、救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(以下この項及び第五十三条第二号において「救急用自動車等」という。)以外の場所においてその業務を行ってはならない。ただし、病院若しくは診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は、この限りでない。
(引用:厚生労働省「救急救命士法」)3 病院又は診療所に勤務する救急救命士は、重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所の管理者が実施する医師その他の医療従事者との緊密な連携の促進に関する事項その他の重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命士が救急救命処置を行うために必要な事項として厚生労働省令で定める事項に関する研修を受けなければならない。
→医師の具体的な指示なくして、救急救命士は救急救命処置を行うことができません。また原則として、業務を行える場所は「救急車の中、および病院等に到着した傷病者が入院するまでの間」に限られます。
救急車の出動件数と搬送人員数は、2008年から2019年まで増加を続けていました。2020年には一時的に減少したものの、その後再び増加傾向にあります。2023年には、全国の救急出動件数が764万987件(前年比約40万8,000件増、5.7%増)、搬送人員数が664万3,379人(同約42万4,000人増、6.8%増)と過去最多を更新しました。
高齢化の進展に伴い、今後も救急需要の増加が予想されますが、救急隊の増加は限定的であり、救急搬送の所要時間が延伸する傾向にあります。2023年には、救急車の現場到着所要時間の全国平均が10.0分となり、病院収容所要時間も45.6分に達しています。
救急搬送時間の延伸は、救命率の低下につながる可能性があるため、迅速な対策が求められています。総務省消防庁では、緊急度の高い傷病者のもとにできるだけ早く救急車が到着できるよう、「救急車を呼ぶべきか」の電話相談ができる救急安心センター事業(#7119)などに取り組んでいます。
(参照:総務省「令和5年中の救急出動件数等(速報値)の公表」「令和6年版消防白書」)
救急救命士が正しく特定行為を行うためには、メディカルコントロールを行う医療機関との連携が欠かせません。救急救命士が行う救急救命処置の質を高め、また救急救命士が処置を担える範囲を拡大していくためにも、今後もメディカルコントロールの体制をさらに強化していくことが求められています。
(参照:総務省「令和2年版消防白書」)
救急救命士になるには、救急救命士国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。この条件を満たす方法は、次の2つです。
救急救命士養成課程が設けられている大学や専門学校で定められた課程を修了し、卒業すると、国家試験の受験資格が得られます。
消防官としての勤務において5年以上もしくは2,000時間以上の救急業務を経験した後、養成所で6ヶ月以上の講習を修了することで、国家試験の受験資格が得られます。
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生命の危険にさらされた傷病者が病院に搬送されるまでのあいだ、または医療機関において傷病者が入院するまでの間に救急救命処置を行う救急救命士。高齢化を背景に救急需要が高まる中、救急救命士の果たす役割はさらに重要なものになっていくと考えられます。
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